【続き】今後のドル円
前回はすみませんでした。
セミナー無事終了です。
ちなみに、今日は2018年の不動産市況はどうなる?
についてのセミナーでした。
極力実践的かつ使える分析方法をと思い資料作り
をしていますが、みんなにちゃんと「使える!」
と思ってもらえていたらいいなと思っています。
さて、前回の続きです。
今後、徐々に円高に進んでいた為替相場は終了する
と結論づけ、前回は、テクニカル分析について理由
を書きました。
今回は、ファンダメンタルズ(経済の基礎的な条件)
から読み解く理由ついてとリスクについて
書いていきます。
先にこれまで円安ドル高になりづらかった理由から説明し、今後どう変わるかを説明します。
【これまで上がりづらかった理由】
①日銀が量的緩和を縮小するんじゃないか?
という“疑い“が本当になるかもとなったから
これはわかりにくいとよく言われるんですが、
「為替が動く基礎的な要因」と「投資家の頭の中」
でわけると整理しやすいです。
「為替が動く基礎的な要因」はドルと円なら
日米の金利差です。米国の金利が日本の金利より
高くて金利差が広がれば円安ドル高、縮まれば
円高ドル安です。
この知識は当然に「投資家の頭の中」にあります。
シンプルな投資家の頭の中はこんな感じ。
「日銀が金融緩和を縮小?ということは金利差が縮まるんじゃないの?ということは円が買われやすい
ってことだよね?よし、円を買っておこう。」
ただ、当然、リスクを追って投資している投資家は
その裏付けを欲しがります。
脳裏に残る課題点は、
「日銀は本当に緩和を縮小するのか?」の裏付け
これが欲しいところです。
そもそも、緩和縮小の疑念は何から出たかというと
昨年11月に日銀総裁(黒田氏)が発表した
「金融緩和の副作用」についての言及が火種です。
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(黒田氏が言った副作用についての解説)
今やっているマイナス金利などの金融緩和策には
副作用がある。金融緩和をして金利を政策で抑えこ
んでも、銀行などの金融機関の利益が大きく削られることになるため、
「こんなんじゃやってられん!」となる金融機関が
勝手に金利を上げてしまうとか、そもそも利益が
とれないから銀行員の給料を下げるなどして、
デフレの一因になるなど、物価を上げるために
やっているはずの金融緩和の効果が薄れる。
といったようなことを言いました。
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当然、こんな具体的には言わず、
これを「リバーサルレート」という言葉で
言及しました。
投資家は、
「おおぉ、日銀はその考えが頭の中にあるという
前提で金融政策をしていくつもりなのですね。」
となりました。こうなると
「金融政策が縮小の方向で動き始める可能性あり。
気をつけて、注視していこう。」となります。
その時は単なる“疑念”です。
逆にまだ“言っただけ”で縮小する方向で動こうとし
ているわけではないという解釈もできます。
一方で、日銀は、日本の物価も目標達成できていな
いので、緩和縮小なんてして景気の腰を折ることな
んてしたくないのです。
「副作用がないんだったらバンバンやりたい」が
本音です。
そんな本音があるはずの中、投資家はこう思います。
日銀は、
「緩和継続による物価上昇を目指す」
「副作用を抑える」
の2つの天秤をかけている状態なんだな。
どっちに動き出すか見てみよう。
と言った感じです。
それに「まずい。。」と思った黒田氏は色んなところでの講演で、「緩和は縮小しない!」と言っていました。
しかし、1月、、
日銀は国債買い入れオペの減額をしました。
国債買い入れオペとは、銀行など金融機関が持って
いる国債を買って、その対価としてお金を流すオペ
レーションのことです。
国債買入額を減らす動きを取りました。
でも、これは
日銀としては、副作用云々は一回抜きにした「通常通りの考え方に基づいた行動」だったのです。
しかし、過敏に投資家は反応して
「緩和縮小するな。円金利が高くなる。円を買お
う」
となって円高ドル安が進みました。
それに対して黒田氏は、
「いやいや、まじで通常のオペで減額くらいする
から。緩和なんてしないって。信じろよ!」
「そもそも、こんなことを投資判断の基準に入れて
くれんな!あんたらが注目しなければ、円高になる
理由が減って、ひいては景気上昇の一端になるのだ
から。」
という心情です。
でも、投資家は
「いやいや、俺ら損したくないもん。
冷静に考えれば、金融政策って効果は弱まっている
じゃないですか?続けていく副作用の方が大きい
と、本当は思ってるんでしょ?緩和だって言って
いるだけでしょ?」
と、心理戦状態でした。
【今後の展開】
総裁や副総裁が色んなところで火消しに走って、
動いた結果と、3月の日銀の後任人事発表でこの
疑念は払拭されそうです。
人事は、ほぼ決まりで、超緩和派の人たちに。
総裁は、超緩和派の黒田氏が続投
副総裁は、
緩和派の代表的な経済学者である若田部氏
政策立案能力に長けた雨宮氏
を起用することで、
「めちゃ緩和派×アイデア力」
で勝負することになります。
単純なもんですけど、安心感は広がっている
様子です。
日銀としても、「緩和vs副作用」はまだ残ったまま
なので、難しい舵取りをしなければならない事実は
残りますが、投資家の“過敏”反応は一旦収束を迎
えました。
この先は、一旦の安心感があるうちに、
新たに次の一手を打ってもらいたいものです。
求めるのは、「緩和力」があり、「副作用」が
少ない政策。
「めちゃ緩和×アイデア力」を早速活かす局面が
就任直後にやってきます。
【続き】ファンダメンタルズ2つ目の理由
は、次回にお流しします。
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【日経記事抜粋】
政府が16日に国会に示した日銀の新執行部案には、安倍晋三首相のデフレ脱却への強い決意がうかがえる。大規模な金融緩和でアベノミクスをけん引した黒田東彦総裁の再任案に加え、副総裁に充てる早大の若田部昌澄教授は強力な金融緩和論者。市場の一部に金融緩和の正常化観測が浮上するなかで、日銀が2%の物価安定目標を目指して大規模緩和を粘り強く続ける姿勢を明確にした。
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【Bloomberg記事抜粋】
黒田東彦総裁の続投を柱とする日本銀行の新体制が固まったことを受けて、現行の金融政策が当面継続されるとの見方が強い。ただ、為替市場では人事報道後に一段と円高が進行しており、追加緩和の可能性が高まるとの声もある。
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【ロイター記事抜粋】
政府が選択した日銀の新体制は、黒田東彦総裁を再任し雨宮正佳・日銀理事、若田部昌澄・早大教授を副総裁に起用する布陣だった。リフレ派の起用で大規模緩和の継続をイメージさせるとともに、アイデアマンの昇格で機敏な対応も可能にした。
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